平成07年02月21日 集民174.285

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【項目】

概算払の住民監査請求期間の起算日

【要旨】

概算払による公金の支出についての住民監査請求は、右公金の支出がされた日から1年を経過したときはすることができない

【事実関係】

補助金の概算払日から1年以上経過後に、住民監査請求がなされた。ただし、住民監査請求をした日は、補助金の確定があった日からは1年を経過していない

【関連判例】

(監査請求期間の原則)

昭和53年06月23日 集民124.145 (真正怠る事実の監査請求期間(制限なし))

昭和62年02月20日 民集41.1.122 (不真正怠る事実の監査請求期間の原則)

平成09年01月28日 民集51.1.287 (昭和62年判例の例外:請求権が抽象的な場合の起算点)

平成14年07月02日 民集56.6.1049 (真正怠る事実と不真正怠る事実の区分(談合入札))

平成14年07月16日 民集56.6.1339 (支出負担行為・支出命令・支出の請求期間始期)

平成14年07月18日 集民206.887 (平成14年07月02日と同様事案)

平成14年10月03日 民集56.8.1611 (職員の談合関与に係る真正怠る事実と不真正怠る事実)

平成14年10月15日 集民208.157 (賃貸借契約の監査請求期間の始期)

平成19年04月24日 民集61.3.1153 (請求権を消滅させた職員への請求に対する監査請求期間)

【判決文の抜粋】

 概算払は、地方自治法が普通地方公共団体の支出の一方法として認めているものであるから(232条の5第2項)、支出金額を確定する精算手続の完了を待つまでもなく、住民監査請求の対象となる財務会計上の行為としての公金の支出に当たるものというべきである。そして、概算払による公金の支出に違法又は不当の点がある場合は、債務が確定していないからといって、これについて監査請求をすることが妨げられる理由はない。債務が確定した段階で精算手続として行われる財務会計上の行為に違法又は不当の点があるならば、これについては、別途監査請求をすることができるものというべきである。そうすると、概算払による公金の支出についての監査請求は、当該公金の支出がされた日から1年を経過したときは、これをすることができないものと解するのが相当であって…