昭和53年06月23日 集民124.145

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【項目】

怠る事実の住民監査請求の監査請求期間

【要旨】

怠る事実に係る住民監査請求には、地方自治法242条2項の規定の適用はない

【事実関係】

町収入役が、町長印を勝手に使用して金融機関から金銭を借り入れ、これを第三者に貸し付けたが、回収不能となり、町は金融機関との訴訟に敗訴してその負担で金融機関に返済せざるを得なくなった。本件は、被告である町長が、収入役と共謀して、又は監督怠慢により、町に損害を与えたと主張する4号訴訟である。原審は、町が収入役の詐欺行為が原因となり、金融機関に借入金に係る支出を余儀なくされた日に違法な支出があったとして、その日から1年以内に監査請求があったので適法な請求と判断

【関連判例】

(監査請求期間の原則)

昭和62年02月20日 民集41.1.122 (不真正怠る事実の監査請求期間の原則)

平成07年02月21日 集民174.285 (概算払の監査請求期間)

平成09年01月28日 民集51.1.287 (昭和62年判例の例外:請求権が抽象的な場合の起算点)

平成14年07月02日 民集56.6.1049 (真正怠る事実と不真正怠る事実の区分(談合入札))

平成14年07月16日 民集56.6.1339 (支出負担行為・支出命令・支出の請求期間始期)

平成14年07月18日 集民206.887 (平成14年07月02日と同様事案)

平成14年10月03日 民集56.8.1611 (職員の談合関与に係る真正怠る事実と不真正怠る事実)

平成14年10月15日 集民208.157 (賃貸借契約の監査請求期間の始期)

平成19年04月24日 民集61.3.1153 (請求権を消滅させた職員への請求に対する監査請求期間)

【判決文の抜粋】

 本件監査請求は、上告人は不法行為により訴外○町に対し損害を被らせ同町に対し損害賠償義務を負うところ同町はその請求をすることを怠っているから損害賠償請求等適当な措置を求める、というのであり、これによってみれば、被上告人らの監査請求は、地方自治法242条1項所定の不当又は違法に財産の管理を怠る事実を改めるために必要な措置を講ずべきことを求めていたものというべきである。そうすると、右規定による怠る事実に係る請求については同条2項の適用はないと解すべきものであるから、被上告人らの本件監査請求については所論の期間徒過の違法はない。