昭和51年03月30日 集民117.337

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【項目】

財務会計行為の範囲(土地区画整理法に基づく換地処分)

【要旨】

土地区画整理法に基づく換地処分を地方自治法242条の2所定のいわゆる住民訴訟の対象とすることは、許されない

【事実関係】

市施行の土地区画整理事業で市が換地処分により土地を取得したことは違法な財産の取得に当たるとして、当該処分の取消しを求める住民訴訟を提起。原審は、市が市有地を取得したのは、土地区画整理法に基づく事業遂行に伴う換地処分の結果であり、換地処分のほかに市が市有地を取得する契機となる別個独立の財務的行為は介在せず換地処分はこれを財務的事項というには適しないから、地方自治法の予定する住民訴訟の定型に該当せず、本件訴は不適法と判断

【関連判例】

(財務会計行為等該当性)

平成02年04月12日 民集44.3.431 (道路建設工事決定)

平成02年10月25日 集民161.51 (財産該当性)

平成03年11月28日 集民163.611 (土地開発公社の用地買収)

平成10年11月12日 民集52.8.1705 (土地区画整理事業での保留地売却)

平成18年12月01日 民集60.10.3847 (資金前渡)

【判決文の抜粋】

 地方自治法242条の2所定のいわゆる住民訴訟の対象となるものは同法242条1項所定の地方公共団体の執行機関又は職員による同項所定の一定の財務会計上の違法な行為又は怠る事実に限られるものであり、これと同旨の見解のもとに、被上告人が…建設事業…土地区画整理事業の施行者としてした各行為の取消しを求める本件訴えが同法242条の2に定める住民訴訟の定型に該当せず、これを不適法であるとした原審の判断は、正当として是認することができる