昭和48年11月27日 集民110.545

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【項目】

普通地方公共団体を受贈者とする贈与契約に対する住民訴訟の適否

【要旨】

普通地方公共団体を受贈者とする贈与契約は、地方自治法(旧)243条の2第4項所定の住民訴訟の対象とならない

【事実関係】

住民を贈与者、町を受贈者として締結された金員贈与契約が違法であるとする住民訴訟を提起

【判決文の抜粋】

 昭和38年法律第99号による改正前の地方自治法(…)243条の2第4項に基づく住民訴訟は、法律の定める限度で許される訴訟であって、旧法243条の2第1項掲記の行為に徴すると、公金の支出、義務の負担ないしは財産上の損失を伴わない単なる収入を発生させるにとどまる行為は、かりにそれが違法な場合であっても、同条4項所定の住民訴訟の対象とすることはできないものと解するのが、相当である。本件訴訟の対象は、普通地方公共団体である被上告人を受贈者とする贈与契約であって、単に被上告人に収入を発生させるにとどまるものであるから、右契約が、かりに上告人主張のような理由で違法であるとしても、住民訴訟の対象とすることができないものといわなければならない。